Monday, 9 September 2013

天皇杯 2回戦 サガン鳥栖 vs 佐賀大学

サガン鳥栖 10:0 佐賀大学

日本唯一のオープントーナメント天皇杯。歴史のある大会ですが、最近ではジャイアント
キリングがよく起こる大会として知られてるかもしれません。
本来特にJ1のチームは下のカテゴリーのチームには力の差を見せ付けて勝つべき
なのですが、どうしてもリーグ戦を重視してしまうため、足元をすくわれるケースが多い
大会なのです。また下のカテゴリーのチームとしては、J1、J2のチームと公式戦で
対戦できることはこの大会以外ないので、非常に高いモチベーションで向かってきます。

今回、佐賀大学もそ恐らく高いモチベーションで試合に臨んでいたと思いますが、
想像以上の点差がついてしまいました。この試合はTVで観戦してましたが、
開始早々に不用意なセットプレーから点を獲られたのが、よくなかったですね。
あの失点がなく、落ち着いて試合に入ることができればもうちょっと違った結果になった
はずです。
鳥栖は前半のうちに6点とったわけですが、4点目あたりから佐賀大学のDFもゴール
前の対応では半ばあきらめ気味になっていたように見えました。
それでも佐賀大学は何とか気持ちを切らさず、鳥栖ゴールに向かっていきました。
最後まで攻め続けた姿勢はあっぱれでしたね。

鳥栖は昨年の天皇杯は2回戦で敗退しています。相手はカマタマーレ讃岐。JFLの
チームでした。このようなことは2度と繰り返すまいという思いが鳥栖の中にも強く
あったに違いありません。鳥栖も最後の最後まで攻撃の手を緩めませんでした。
尹監督も細かいところまでかなり厳しく指示をだしていました。とにかくリーグ戦
の勢いを切らさない。

またこの試合では普段、出場機会のない選手が多かったので
そうした選手にとっては貴重なアピールの場でもありました。
今回、大量に得点したので攻撃陣は合格点を与えられるのかもですが、
レギュラーの選手と比べてまだ差があるように感じます。技術的には大きな差はあり
ませんが、チームプレーやプレーの判断ですね。少ないタッチで味方とどう連動して
崩すか。もっとコレクティブにプレーすることが大事だと思います。

Friday, 6 September 2013

ゴールは偶然の産物ではない~メルカート悲喜交々~

ヨーロッパのサッカーリーグもとうとう開幕。それに合わせて夏の移籍市場では活発な
動きがありました。メスト・エジル(レアル・マドリー→アーセナル)、ガレス・ベイル
(トットナム→レアル・マドリー) ネイマール(サントス→バルセロナ)
こうした補強については各チームそれぞれのチーム作りの特徴がよく出てますね。
ビッグクラブは資金力にまかせて獲りたい選手を獲れるかもなのですが、なるべくなら
適正な値段で補強を進めたいですよね。

ちょっと話は変わって野球になりますが、映画にもなった『マネー・ボール』に登場する
ビリー・ビーンは「くたばれAトレード」なるものを行います。ビリーはアスレチックスの
ゼネラルマネージャー。ちなみに「くたばれAトレード」は他球団のマネージャーが思わず
「くたばれアスレチックスめ」とつぶやいてしまうことからきています。
シーズン後半に入る初夏。MLBはトレード期間に入りますが、この頃になると成績不振の
チームはなるべくコストを抑えるために選手を売りにだそうとします。そのため供給が
だぶつき、選手の値段も下がります。すると開幕前に手が出なかった選手もお手頃に!
そこにビリーは巧みな交渉術でいつもがらくた?選手をトレードで売りつけて、
いい選手を獲得しているのです。

選手の補強についてはチームの補強ポイントをしっかり見極めた上で、シーズン通して
他チームの選手の状況や情報をチェックしておかないといけません。
前もって情報集めることで早めに補強に動くことができます。移籍市場の動きが
活発化すると選手の価格がつり上がるので適正な金額で補強するのは難しくなりますね。

交渉は準備が8割、相手とのやり取りが2割と言われます。また交渉が一度でも始まると
準備をする暇がなくなり、相手から痛いところ突かれたら、対応できなくなります。

交渉前に準備するのは
1.上限をどのくらいにするか?
 自分が譲れない上限。交渉に見切りをつける一線を設定する。
2.何をどこまで譲歩するか?
 移籍金、給与以外のオプションについて、それぞれ詳細に分析して優先順位を
 つける。
3.交渉相手にとってどれくらいの価値があるのか?
 相手がどれだけ売りたがっているのか?あるいは買いたがっているのか?
 慎重に見極めること。

これに加えてアングロサクソン(イギリス・ドイツ系)はBATNA(Best Alternative to
 Negotiated Agreement)を準備しているケースが多いそうです。
交渉中にBATNAを念頭に置くことで交渉中に提示されている内容と比較できます。
大体こんな感じでしょうか?

クラブ側 :この選手が交渉で獲得できなければBチームの○○選手を獲得しよう。
選手側:このチームに入団できなければ、ほぼ合意しているCチームへ移籍しよう。

他にも交渉時は相手の国の文化や性格に対応する必要があるそうです。
アングロサクソン系は比較的冷静でスムーズに交渉が進むそうですが、
大変なのはイタリアなどのラテン系。彼らは電話での交渉ではなく直接、
会って交渉したがるそうです。 「電話なんて水くさいじゃないか!」

そして会ったら会ったで感情的に訴えてきます。
「でもこの選手はチャンピオンなんだよ!!」
これは前シーズン優勝チームに在籍していた選手についてのコメント。

さらにマスコミに交渉経過を一部リークしてプレッシャーをかけるそうで。。。

今夏、CSKAモスクワの本田の移籍が上手くいかなかったのもちょっと分かる気
がします。僕はニュースで報道された部分でしか分からないのですが、
代替策もないような感じでしたし、上限とか一度テーブルを立つというのも
必要だった思います。粘るというか、ずるずる引き延ばした印象でしたからね。

また今夏はヨーロッパだけでなく、Jリーグでも登録ウィンドウがあり、
移籍市場が活発に動きました。サガン鳥栖にも強力な選手達が入団しましたね。
おそらく、特定の選手にしぼるのではなく、例えば「攻撃の起点になれるCB」や
「中盤での潰し屋」などチームに足りないタイプで探しているはずです。
誰々が是が非でも欲しいとなると、相手に金額を吊り上げられたりすることも
あるでしょう。

夏とシーズン終了後の移籍期間。この間は愛着のある選手がチームを離れたり、
寂しい思いもすることもありますが、新しいチームに希望を膨らませる楽しい期間
でもあります。


※今回の文章、交渉のくだりは「ゴールは偶然の産物ではない/F.ソリアーノ著」
を参照しています。 文章で間違った部分があれば筆者の責任です。