最近読んだ本の紹介です。
オシムの伝言 千田善著この本は日本代表で通訳をしていた千田さんがサッカー元日本代表監督であるイヴィツァ・オシムさんの代表監督就任から脳梗塞からの復活までといった日本での活動の舞台裏を描いたもの。
オシムさんがどいった人物なのかと同時に通訳する際の大変さ等が書かれています。日本とサラエボでは全く文化が違います。そのまま伝えても間違った意味にとられてしまいます。そこを上手く理解してもらえるためにどういった表現で伝えるか。
アジアカップの準々決勝のオーストラリア戦前日
オシム『明日はライオンのように戦え』
通訳:ライオン?百獣の王だから、堂々と戦えでいいのかな?
カメルーン代表はよく「不屈のライオン」と言われている。
あっ!でもそういえば98年のワールドカップのイングランド対アルゼンチン戦では「十人の勇敢なライオンと一匹の愚か者」という言葉があったなぁ。ヨーロッパではライオンというのは勇敢の象徴なんだ
こういった考えが一瞬のうちに駆け巡り結局、次のように訳されました。
『(一瞬間があいて)明日の準々決勝はライオンのように勇敢にたたかおう。勇気をだして絶対にあきらめるな』
通訳の仕事は大変です。
この本で特に面白いと思ったのは記者会見でのユーモア溢れる言動の真意が書かれているところです。オシムさんは独特の奇妙な言い回しで記者を混乱に陥れたり、謎かけをして楽しんだりしていますが、もちろんキチンとした意図があってのことでサッカーをよく知っていれば、誰でもわかる内容だったんですね。
傍から記事を見ると『???』といったこともたくさんあったわけですが、ジャーナリズムのレベルがオシムさんについていっていないということですね。
オシムさんは途中、脳梗塞で倒れてしまったため、志半ばでチームを岡田監督に託すことになってしまいましたが、チームを離れた後も選手にとってはとても大きな存在だったに違いありません。
ワールドカップの前には色々オシムさんのインタビューや本がでていたので目を通していましたが、そこにはチームや選手がやらなければいけないことが整理してはっきり示されていました。
混乱してても、やらなければいけないことがはっきりしていれば何故か落ち着きますよね。
世間が岡田監督をバッシングする中『どうして岡田監督を信じないんだ?』と言われていたのも印象的でした。
・偶然で日本に来た。二年目からは偶然ではない。
・リスクを冒さないサッカーは塩とコショウの入っていないスープようなものだ(監督の口癖)
・勇気がある方が勝った。勇気はお金では買えない。
・なぜ勝てないかと言えば、勝てると信じていないからだ。
最初日本にきた時は一年で帰るつもりだったのに、結局日本代表監督まで請け負うことになったオシムさん。日本選手のポテンシャルに可能性を見出しました。
指導するチームには『リスクを冒せ』『自分を信じろ』と言い続けました。
きっとオシムさん自身もこういった人生を送られてきたのでしょう。
そう考えるとサッカーって本当に深いなと思います。
いい人生を送るにはこれらのことが必要ということでしょうか。
この本はサッカーの本でもあり、人生の教本でもあります。
これからもオシムさんの言動には目が離せません。
是非是非読んでくださいまし~。
実は購入の際、かなり迷っていました。読みたい本ではあったのですが、ハードカバーは買うのに結構勇気がいるんです。
だからライオンのようにこの本購入しました。
おかげで悪くない人生です(笑)
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