Friday 26 April 2013

今後も繰り返される不条理な移籍問題

ドイツブンデスリーガのお話。先日ボルシア・ドルトムントMFマリオ・ゲッツェのバイエルン
移籍が発表された。マリオはドイツサッカー界で将来を嘱望されている選手の
1人で弱冠20歳。ドルトムントには8歳の頃から所属している。
ドルトムントはこれまで2年連続でブンデスリーガを制しており、バイエルンにとって
ドルトムントは最大のライバルだ。バイエルンとしては今回の移籍により、ライバルの
弱体化に成功した形になる。

選手の移籍は選手自身の将来と本人の希望により行なわれるものなので、あまり
とやかく言えないが、同じリーグのライバルから選手を引き抜くというやり方は
感心できない。Jリーグでも浦和レッズがよくJリーグの他チームの主力選手を
獲得しているけれど、イメージがどうしてもヒールみたいになる。
こうしたいわゆるビッグクラブという存在もあった方がリーグも盛り上がるかもしれ
ないが、ビッグクラブはもう少しサッカー界全体のことを考えるべきだと思う。

選手を引き抜かれたクラブは多少の移籍金を得るかもしれないが、これまでその
選手を育てた労力と時間はお金で簡単に清算できるものではないのだ。
さらにビッグクラブへの移籍でたちが悪いのは選手が移籍した後になかなか輝けずに
潰れてしまうケースがあまりに多いことである。選手自身も立派なプロで短い選手生活
なんだし、よりお金がもらえるところに行くのは別に悪いことではないが、
その金額のプレッシャーに負けてしまうのだ。

こうしたビッグクラブは長期的なビジョンを持たずに選手を漁ってしまうとあっという間
に転落してしまう。なぜなら自分達のサッカーを築いてないから。破壊者ともいえるだろう。
どんなに優秀な選手をかき集めても適当に獲っていれば選手はフィットしないし、潰れてしまう。
選手自身が決めたこととはいえ、引き抜きにあったクラブはたまったものではない。
一方でコツコツと自分達のビジョンに沿ってサッカーを築き上げるクラブもある。
若い選手を育てて尚且つ勝利を得ていく。こうしたクラブは創造者といっていい。

最近Jリーグで興味深かったのはガンバ大阪の凋落。昨シーズンの開幕前にガンバがJ2に
降格するなんて誰が予想できただろうか。それまでのガンバは西野監督が作りだした
パスサッカーで魅力的なサッカーを展開していたが、その西野監督との契約延長を見送って
しまった。そして 新しく監督を迎え、新しいチームの編成を行なったが、失敗してしまい
調子を崩し、そのまま降格してしまった。
ガンバ自体は資金力がかなり豊富なチームである。実際、それまでもJの他チームの外国人
ストライカーをよく引き抜いていた。確かに自分達で選手を探したりするよりも、
他チームで活躍してる選手を獲ったほうが楽は楽である。 またガンバの場合、
西野監督がチームのビジョン等をほとんど考えていたのだろう。西野さんがいなくなってから
のフロントの対応はかなりお粗末ではあった。いくらビッグクラブでもマネジメントがしっかり
していなければすぐに転落してしまうのがサッカーの怖いところだ。

サポーターにとって応援してるチームのスター選手が移籍してしまうのはどういった
心境なのだろう。それは全部が全部裏切られたという思いではないはずだ。
チームに対してきちんと筋が通っていれば、大抵快く送り出すケースが多い。
選手自身にとってキャリアの選択は本当に難しいだろう。ただ、重要なのは移籍
先のチームのネームバリューだったりお金ではないのは確かだ。



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